2013年12月21日土曜日

コポコポという音























意識をして、耳を済ましたことってありますか?

例えば、

風が通り抜ける音だったり


川のせせらぎだったり


お湯を湧かしている音だったり


コーヒーを淹れるときのコポコポという音だったり


そういう音を聞いていますか?



今は、テレビやラジオ、
色んな電子音や文明の利器たちの作られた音にかき消されてしまって、


そこかしこに溢れている自然の音が聞こえなくなってしまっています。


聞こうともしていないから、
聞こえないのだとも思います。


人間らしい暮らしの中には、

五感を磨く術が備わっています。



その音の中には心豊になる、
深い世界が広がっていて、
人の気持ちをうんと穏やかにしてくれます。


そんなささやかな日常の音に耳を澄ますことができるような暮らしが、
平和や心の豊かさにつながっていくのだと思います。

子どもたちは、そんな暮らしの中で、
安心して過ごしながら、
生活力を養っていくことができるのです。


私は、陽だまりの中で、
コポコポという音を聞きながら、
コーヒーのいい香りがしてくる
あの時間が、大好きです。

ってそんな時間、
1年の内に1回あるかないかくらいのものなので、
とっても貴重です。
来年はもう少し増やしていきたいな。



2013年12月19日木曜日

冬の寒さを感じよう!























雨が降ってぐんと寒さが増して、
厳しい冬に突入しましたね。


冬を越せば、また暖かな春が待っているから、
この寒さも我慢できるのかもしれません。


日本には四季があり、それは宝物だと思います。
四季があることで情緒豊かな感性が育まれます。


例えば、海外でも高く評価されている美意識の高さや、
細部までこだわるところなど、
日本人の気質はこの気候風土から生まれたものでしょう。


四季の移ろいは、心の機微に触れます。


寒い冬が長く続いている頃、
真っ先につける梅の花の蕾を見て、
春がそこまで来ているんだと感じる心や、


暑い夏を過ごしながら、急に入道雲がなくなり、
空が高くなってうろこ雲を見つけたとき、もう夏も終わりだなぁと、
秋の気配を感じる心など、
季節があるからこそ感じられものであり、
豊かな心はこうして育っていくものです。

ただ、ここ数年ものすごい勢いで普及してきた家は、
快適性、利便性を追求してきた結果、

気密性、断熱性を重視して、
すきま風もない、暑さ寒さもシャットアウトしてしまうものでした。


豊かな四季がありながらも、
家の中はいつでも同じ温度で快適な空間を作り上げます。


今暑いのか、寒いのか、風が吹いているのか
雨が降っているかもわからないような空間です。


窓を開けて風を通してあげた方がずっと心地よいのに、
気づかずに冷房をかける。


日だまりの暖かさで十分心地よいのに暖房をつける。


こんな風に、人工的で、
まるで温室のような環境の中で育てられた子どもは一体どんな大人になるのでしょう。


例えば、ふっと吹き抜ける風が冷たくなって季節の移り変わりを感じたり、

夜に外から聞こえてくる虫の音を聞いて、秋の訪れを感じたり…。


こんな快適すぎてしまう家だとそういう暮らしの中の些細な変化を見過ごしてしまいます。


夏の暑さも、冬の寒さも、
日本人が心身ともに健やかに暮らしていく上では大切なことなのです。


人の体は、もともとその時々の環境に適応する能力が備わっています。
暑い環境でも寒い環境でも体温を一定に保つための仕組みが備わっているからです。


暑い環境でも数日過ごすうちに自律神経の働きがよくなり、
汗を上手にかけるようになったり、体温調節ができるようになっていきます。



普段から、暑さや寒さに慣れていれば、
体が暑さに慣れ、
普段から運動をしていて適度に汗をかく習慣がある人は、
熱中症になりにくいというデータもあります。



自然を感じることは、心身にとても大きな影響を与えてくれます。

2013年12月12日木曜日

太陽の香り

















今、いただいたリンゴが机の上にあり、
とってもとってもいい香りがします。
しあわせな香りです。

「香り」というのは、
記憶を呼び起こしたり、
安心させたり、
気分を高揚させたりと、人の心にさまざまな影響を与えるそうです。

確かに、香りってそういうのあるなぁと思います。
ふとした香りで、
急にその当時のことを思い出して懐かしくなったり…
そういうことってありませんか?


自然界にある「香り」には、それぞれ意味があるのだそうです。
例えば、植物の放つ香りは、
昆虫や動物を誘ったり避けたりするのに使われ、
よい香りの代表とも言えるバラの匂いの主な成分は、
強い花を咲かせるために必要な強い殺菌力を兼ね備えていると言ったように…

さて、香りのお話から…
私は家づくりに携わる上で、
太陽の香りがする家ってとてもステキだと思っています。
そして、それが子どもにはもちろん、大人にとってもとてもいいものだとも。

「太陽の香り」と聞いてみなさんどんな香りを思い浮かべますか?
青空がきれいな夏のあの香り?
みどりの濃い山々の香り?
碧々とした海?
太陽の下で干されたお布団や枕?
からっと乾いた洗濯物?

私は太陽の日差しをいっぱい浴びたお布団と枕に顔を埋めたときに、
太陽の香りを感じます。

何とも心地よく、しあわせな気持ちになり、ほっと安眠できる気がします。

夏の日を思い出す香りも、
山々を歩いたときに感じた香りも、
海で楽しい時間を過ごした時を思い出す香りも、
いつもそのとき太陽がさんさんと光り輝いているから、
イコール太陽の香りと感じるのかなぁ?とも。


実際に、この太陽の香りと言われるものからは、
アルファ波という脳波の周期が一定のリズムとなり、
リラックスに近い状態になれるという実験データがあるそうです。
アルファ波というのは四種類ある脳波のうちの一つで、
瞑想したり集中したりすると出る脳波で、
リラックス状態のときにはその周期は一定のリズムで変動するそうです。


今日は少し長くなってしまったので、
「太陽の香りがする家」って、どういう家かは、また明日お話します!


近藤崇


2013年12月9日月曜日

料理をしよう!



















子どもは、自分も家の中で何かの役に立ちたいと感じています。
誰かの何かの役に立つということは、生きる喜びに繋がります。


家族がやっていることは、
自分もできるようになりたいと思っています。


初めはできなくても、
度でも工夫を持ってチャレンジできるような、


そんな環境を家の中で作ってあげましょう。
 

   その中で最も効果的なのは、お料理です。
料理は、五感を一度に様々な場面で使うものです。


おそらくそのことが、
脳を活性化させる効果に繋がるのでしょう。

他のどんな芸術でも、五感を一度に使うものはありません。


本来備わっている人間本来の力に、
知り得た知識と数をこなしてきたことで得られる経験を土台にして
それらを一気に使うお料理という仕事は、
人を成長させます。


その効果は計り知れないものがあります。


何品もあるお料理を、
最終的に同じタイミングで仕上げ、
お出しするということは、
何をどういう手順で進めていけばいいのか、
そのことを瞬時に頭の中で計算し、
進めていくことになります。


また、すべてのことを、機械でやるわけではないので、
目と耳と鼻と口と手触り、
そのすべての五感をフル稼働させてお料理をします。

一度にいろんなことが見えて、
聞こえて、感じることができるので、
お料理をすることで五感が磨かれていくのです。


小さな変化も見逃さない、
様々なことに注意深く「気づく」ということに敏感な人間が育つのです。

「気づく」ことで、工夫が生まれ、成長があるのです。
人は日々の暮らしの中で一日三食、
食べることで五感を訓練できたり、
季節を感じたりできるようにできています。。
 

   例えば庭で自分の食べる野菜は自分で育てる、
   こういう体験も、子どもにとって物事を表面的ではなく、
   奥深く考えたりする力を養うことができるでしょう。

   どう育てればこういう味わいになるのか、
   そして、自分で育てた野菜を切る、茹でることで、また新たな発見があります。


   このお料理だと、どんな切り方をすれば美味しく仕上がるのか、
   どれくらい茹でたら歯ごたえが残るのか、
   それとも、もっと柔らかくした方が美味しく仕上がるのか…など
   食材一つとっても様々な変化の違いを学んだり、
   食べる人のことを思いながら工夫をしたり、
   考えたりといった応用が効くようになります。


   こういった日々の暮らしの中の出来事が、
   子どもにとっては大きな学びの機会になるのです。


 近藤崇